オルタナティブ・スクールとも

兵庫県宝塚市の児童発達支援・放課後等デイサービス a.s.tomo(@)icloud.com

性教育=人権教育(共育)

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【改訂版】国際セクシャリティ教育ガイダンス/ユネスコ

 

昨年、シオリーヌこと大貫詩織さんをお招きして「2才からのお家でできる性教育」という講演会を実施してから、1年以上が経ちました。

全ての子どもたちに、性に関することを含めて、自分の身体を知り大切にすること、他者の身体を知り大切にすることは人権教育の根幹だと思って、長年、保育所や発達支援センターで子どもたちに関わってきました。

 

0才児でも自分の身体に付いているおちんちんや自分の身体にはないものを不思議そうに見に来ます。その際に「見ないで!」と禁止するのではなく、「これは、〇〇ちゃんがオシッコする時に使うんだよ。キレイにしているからね。」と子どもが触らないようにしながら、禁止をしない(大人に聴くと怒られる状況をつくらない)ことで対応を始めていました。

 

とうぜん、月経のことは自身の娘や息子とお風呂に入る時に「お母さん、血が出てる。ケガしたん?」と言われてもうやむやにせずに、「赤ちゃんのベッドが要らないから、血と一緒に流しているんだ。」と2才ごろから説明していました。ケガという嘘はつきませんし誤魔化しません。

 

シオリーヌさんが

「赤ちゃんはキャベツ畑で生まれる」とか「赤ちゃんはコウノトリが運んできたよ。」が一番後で訂正に困るんです。

と言われていたのは、とても納得し共感しました。

 

学校では、文部科学省の指導要領があって、ほぼ性教育はされていません。

 

昨年の夏に京都教育大学を会場にして、全国から集まった教員に混じって、性教育のみならずジェンダーに関する研究会に各講師の話を聴いたり、ディスカッションしたりしましたが、

「日本はまだまだ遅れてるよねー」

というのが現実でした。

この研究会の時には、すでにユネスコから英文で写真の【改訂版】国際セクシャリティ教育ガイダンスが発表されていたのですが、講師の中に「ごめんなさい。今日までに翻訳が間に合わなかったので発売出来ていません。」と言われた翻訳本が2020年8月10日に明石書店から発売されました。

もちろん、【オルタナティブ・スクール とも】でも2冊購入しました。

 

ユネスコの英文を和訳したものですから、かなり文体はまどろっこしいのですが基本的なことが書かれています。

これを日々のともでの療育の中にどう落とし込むかは、私たち次第です。学校では教えてくれないこと、お家でもどう説明して良いのかわからないことを、日々のともの生活の中で適宜落とし込んだり、時には外部講師をお招きして保護者様と一緒に話を聴いたり、写真本なども置いて、子どもたちと一緒に読んでいます。

 

以下の判決は昨日です。この事件は、文部科学省に全てを委ねていた、私たち大人の責任だと肝にめいじています。(他人事ではなく、身近な特別支援学校に限らず、障がいの有無に関わらず、どこにでもある案件です。実際に私は中学3年生の夏休み前に出産したお嬢さんを知っています。)

 

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6369318

【相談できなかった妊娠 軽度の知的障害の被告 女児死体遺棄事件】8月27日に判決/毎日新聞

 

「妊娠を相談できる人はあまりいなかったです」。自宅のくみ取り式トイレに女児を産み落としたとして、死体遺棄の罪に問われた軽度の知的障害のある女性被告(24)=佐賀県武雄市=は、法廷で弱々しく語った。佐賀地裁で7月に始まった公判は27日、判決を迎える。痛ましい事件を未然に防ぐことはできなかったのか。専門家は、知的障害者に対する性教育や一人一人に合った支援が必要だと訴えている。  起訴状などによると、被告は2019年12月13日ごろに女児を産み落とし、翌年1月6日に業者に発見されるまで放置したとされる。審理のために実施された知能検査で「精神年齢8歳9カ月」と診断されており、「遺体がある」との認識があったかが争点だ。  19年8月ごろ、女児の父親で知的障害のある交際相手の男性(24)と共に検査薬で調べ、妊娠が分かった。被告は法廷で「妊娠はうれしかった」と話す一方、「家族には言いづらかったです」。妊娠後、一度も産婦人科に行かないまま、同居する家族に打ち明けることもできなかった。  被告側は「出産を予期できず、遺体があるとの認識がなかった」として無罪を主張。検察側は、被告が交際する男性に「流産したみたい」と伝えたことなどから、「出産に気付かなかった可能性は考えられない」としている。「流産」について被告は法廷で、「言葉の意味はあまり分かりません」と語っている。  

障害者施設などでの勤務経験がある東京福祉大心理学部の原千恵子教授(臨床心理学)は、被告がベビー用品をそろえるなど子育ての準備をしていなかったことに着目し、「子供への愛情と育児の意識があれば救える命だったのではないか」と指摘する。原教授は、特別支援学校でカップルの合意や育児を含む性教育をすることが重要だと強調。「性犯罪などから守るためにも、知的障害者への性教育は繰り返しする必要がある。男性側も妊娠への理解を深めるべきだ」と話す。  

知的障害者の自立などを研究する新潟県立大人間生活学部の西村愛准教授(障害者福祉)も「障害者は性に関する情報から遠ざけられる傾向がある」と、同様の問題意識を持つ。  西村准教授は、障害者差別解消法の「(行政などは)障害者から意思の表明があった場合、合理的な配慮をしなければならない」との規定について「性の情報から遠ざけられている知的障害者らは意思表示をすることが難しい」と指摘。「意思表示を出発点にするのではなく、『安心して生活できる』という到達点に向けた支援を、障害者と共に考える必要がある」と語った。【竹林静】