Aさんが「ジェンガやろう!」と声をかけてきました。
『誰とやりたいの?』と支援者が尋ねると
Aさんは「うーん。社長さん(支援者)」と室内を見渡してから大好きな支援者を指名しました。
『他にもBさんやCさん、DさんもEさんもいるよ!《ジェンガしよう!》って声をかけてみたら?』と提案。
すると横で聴いていたBさんが「あ!やる!」と自ら参加してくれました。
ここで大人が相手になることはとても簡単ですが、Aさんには周りの子どもを誘うという課題を見据えているので
周りの子どもに目を向けるような声かけが必要です。
Aさんは「B!やろう!」とジェンガを2人で積み上げてからジャンケンで順番を決めてゲームスタート!
ところがこのジェンガは滑りが悪くて抜くことが困難です!(たまに大人も混ぜてもらいますが子どもたちの方が慣れていて上手です。)
この勝負はBさんが台に触れてしまった為、すぐに終了しました。
そこにCさんが「はい!」と手を挙げて参加表明をしました。
Cさんは「はい!」以外はなにも言わず、またジェンガのルールを理解していないので
『Cさんにジェンガの順番の決め方、一本ずつ棒を抜くこと、その取った棒は上に乗せることを説明しながらやってね!』
とAさんとBさんにはお願いしました。
ルールを説明すること(合意形成)を取ることは、説明する側の子どもたちの会話のスキル向上だけではなく、やりたいと参加表明をする人を排除せずにどうやったら一緒に参加できるか?を考えるキッカケになります。
また、自分で参加を決めることにもとても大きな意味をもちます。
それぞれの課題は違っても同じ遊びを共有する中で子どもたちが成長出来るような声かけを支援者が意識することは[支援者が【考える】こと]の大きな役割です。
というわけでジェンガを大人抜きで3人で思考錯誤の会話をしながらやった結果は、、、、
やはり難しくて物凄い音を立てて崩れました!
ところがこれを繰り返していると、大人も負けるぐらい高く積み上げることが出来るようになっているので子どもの力はすごい!としか言いようがありません。
あらゆる[とも]の遊びの場面には
①自分で決める
②周りと合意形成を取る
③失敗てもまたやる(トライ&エラーの繰り返し)
が含まれるように支援者は考えています。
余談ですが、先日、《きょうされん》兵庫支部に入会した際に兵庫県支部の方が3名[とも]を訪問して下さいました。
大人の福祉を中心に全国的な活動をされておられるので、児童の施設の加入は珍しいそうです。
そこで「児童発達支援や放課後等デイサービスって何をされているのですか?」と質問されたので上記のようなことをかいつまんでお話ししました。
すると「一斉に何かをさせる方が楽ではないですか?」と質問を受けました。
私は
『確かに大人(支援者)目線ではその方が楽なのかもしれませんね。でも、本人がやりたいことを決めるのは今の福祉の流れですよね?
また、やりたいことを決めた本人がどうやったらそれを実現出来るのか?を考えるのが私たちは楽しいんです。一斉に何かをさせようと思えば
それだけのスキルを持つ職員集団ですが、それをあえてしないのは子ども中心だからです。その分、私たちは色々な引き出しを用意しないといけませ
んがそれも楽しいんですよ!』
とお応えしました。
質問された方はとても嬉しそうに「そうでした!本人が決める!それが大切でした!」とおっしゃってくださいました。
障碍者の社会参加を含め制度にも、深くは裁判闘争にも関わって来られた《きょうされん》の皆様には、まだまだご教示いただくことも多いはずです。
ただ、《オルタナティブ・スクールとも》が目指す療育は、あくまでも子ども中心という当たり前を知っていただく良い機会になったと思っています。