オルタナティブ・スクールとも

兵庫県宝塚市の児童発達支援・放課後等デイサービス a.s.tomo(@)icloud.com

【研修会報告】「不器用な子のアセスメントと支援の実際~発達性協調運動障害診療の最新ガイドラインより~」

宝塚市川面にある、児童発達支援と放課後等デイサービスのオルタナティブ・スクールともです。
 
「不器用な子のアセスメントと支援の実際~発達性協調運動障害診療の最新ガイドラインより~」
主催:伊丹市立こども発達支援センターあすぱる
講師:兵庫県リハビリテーション中央病院
   作業療法士 若林秀昭氏
 
上記の研修に参加しました。
 

alternativeschooltomo.hatenablog.com

 

事前に少し学習した記録として先日はこのブログをアップしました。良ければお読みください↑

 

今回の講演の内容↓(長いので疲れたら続きはまた今度、、、とゆっくり読んでくださいね。)

さまざまな障害について、いままでは、機能障害→活動→社会参加と直線的と思われていたのですが、今はICFのようなそれぞれが関係し合っているとあえう考え方に変わっています。

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ICF

発達性協調運動障害の概要


☑活動への介入、支援が必要
発達障害の一種で、脳の機能障害である。
☑先天性だがまだ、詳しく原因は解明されていない。
☑知的障害と診断されているお子さんに関しては、それに伴い運動も低下してしまうのでこれには含まれない。

協調運動とは
いくつかの感覚や運動要素により構成される、まとまりのある意味を持った「動作」または「行為」のことで
一般的な運動発達の方向性は、中心から末端(体幹から手先、足先)が発達のプロセスと言われているが、
そんなに単純ではないようです。

今まで主流だった感覚統合論
従来は、運動の発達について階層性があると言われていましたが(積み上がるイメージ)現在では、運動スキル獲得のパラダイムシフトを転換することが必要な時期になってきています。
従来の考えは捨てて、新しい現代のシステムモデルを重視するべき時がきたとお話されていました。
(これは、DCDのみでなく、脳性麻痺などにもこの考えは適応)
つまり、さまざまな環境で、発達を促すことが大切です。


DCDの要因

☑個人の資質・課題・環境の相互作用でうまれる

☑不器用さの分類
  粗大運動型
  微細運動型

ADHDとDCDを並存する場合
 反社会的な行動に出たり
 学歴が低いなど
 他の並存症にくらべ率が多い。
かの有名な坂本龍馬は、ADHDとDCDを併せ持っていると言われています。
DCDの特性をもった子どもの割合は、通常学級で5~6%といわれており、
この数字は、
通常学級の中の発達障害児  6.3%
          LD児  4.5%
と比較しても少なくないことがわかります。

不器用は何故問題なのか
直接的な問題
身辺動作(ADL)の妨げ
学習活動
文具の扱い
体育活動なわとび、鉄棒
余暇活動
お友達と遊びにくい

二次的な問題
心理的問題
自尊感情が低くなる
不登校
肥満
生活習慣病
家族への影響
家族のストレス
2次障害の現れ方
外在化障害 攻撃性・衝動性が外に向かう、暴力・暴言など
内在化障害 不安、抑うつ、脅迫、解離、ひきこもりなど
このような障害があらわれ社会参加できないケースが考えられるため問題と言われています。

アセスメントと評価に必要なこと
☑インテイク
 本人・両親・支援者(カウンセラー、教師、関係機関の支援者)などからそ れぞれの事情や状況を伺う。
☑機能的アセスメントの例
 M-ABC2(日本で標準化中)

 BOT-2(現在は、日本で標準化予定なし

他にはこんなことも。
・線上歩行
・親指を人差し指、中指、薬指、小指につける
・この際に反対の手をみることで、DCDの判断基準となる。
・線に対して直角に椅子にすわり、爪先かかとを交互につける
通常5歳ではできてほしいことですが、DCDの子は難しいそうです。

発達性協調運動障害児への支援・介入

具体的な場面や状況を把握しないときちんとしたアセスメントとはならないため、安易な判断はよくありません。

まず、DCDは、完治することのない障がいであることを再確認しましょう。

アセスメントにより、診断された子へは適切な介入が望ましいです。

活動の目標を設定し、心理社会的要素への配慮(自己概念の評価)を持って介入することが大事です。
その際に、や精神心理的障害がある場合、介入の結果はでにくいそうです。

代償的アプローチをすることで効果があがることがあります。
代償的アプローチの例
タブレットをつかった板書
福祉用具の活用
※教育現場の理解があまり得られず(特に兵庫県では)タブレットの使用に多くの制約があるなどの課題がある。これは、社会の課題といえるだろう。

2つの治療アプローチ
身体機能指向型アプローチ
ボトムアップする介入の方法。
筋力強化、体幹レーニング、感覚統合療法など。
活動指向型、参加指向型アプローチ
トップダウンで、課題を決めた介入の方法です。

※現在DCD学会では、活動指向型、参加指向型を推奨しているとのことです。


兵庫県リハビリテーション中央病院では、2つをうまくつかい介入なさっているとのことでした。


EACD介入に関する主な勧告
(EACD:ヨーロッパ小児期障がい学会)
・仮説に基づいて行なっており、エビデンスはない。
・しかし効果がないわけではない。
・ゲームアクティビティ(Wii fitのようなもの)も効果的
・グループでの介入は、子どもへの心理的な負担などの理由からメンバーの構成が難しい場合があるので、注意する必要がある。


私たち専門家から学校教育や家族への助言
定期評価(活動参加、運動機能面だけにならないように)の共有
 
私たち専門家がもつ視点の参考↓
COーOP Cognitiv Orientation to daily Occupationsl Performance
子どもから希望を聞き、(なりたい自分、できるようになりたいことなど)適切に誘導し、アプローチする手法・プログラム


この手法は、当たり前のことですが、今まだ広まっていない考えで、トップダウンの考えが大人に根付いていることが要因だと考えられます。


協調運動に変化をもたらす三要素

個人、環境、課題

個人の資質は脳機能が原因なため変化がみられにくいため、環境と課題を考えることが重要です。

具体的な介入・支援のポイント

支援者は、毎日家でできることを提示する。
週に一度のOPやSTだけでは効果が薄いことから、日常で家庭と連携しながら
介入していく必要があります。
それは、週に一回木曜日の午後だけダイエットしても、ダイエットの効果が現れないのと同じことです。
(日本DCD研究会2016講演会より)

子どもとの関りで特に気を付けたいこと
エラーレスが大事(「できるまでやって」という指示だと、バッドエンドで終わるため子どもが可能な回数を指示するなどの工夫を)
そういった介入での成功体験を積むことが有効です。

例えば、投球の訓練などでは手とボールに意識を集中し子どもと話し、姿勢やほかの気になる点については言わないようにする。これは、子どもが混乱することを防ぐためです。
数を重ねれば上手くなるわけではないので、焦らず関わることが大切ですね。

2次障害の出現のメカニズム
子どもをとりまく環境調整と連携が重要です。
 

まとめ


子どもの協調運動は、動的相互作用で、発達し、すごしている環境や活動に取り組む経験により学習されます。

DCDは、心理的社会的な問題から派生する2次障害の予防が重要で、評価は機能面のアセスメントのみにならないように気を付けねばなりません。

 
参考・関連URL:
 
 
 

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