③算数のつまずきの理解 ~算数ができないのか、どう教えればよいのか~ に行ってきました。
宝塚市川面にある、児童発達支援・放課後等デイサービス、オルタナティブスクールともです。
前回の続きです。
②算数のつまずきの理解 ~算数ができないのか、どう教えればよいのか~ に行ってきました。 - オルタナティブ・スクールとも
◼️具体的な手立て
計算が間違っているからといって、「これはこうするんだよ」とその場限りのやり方を教えるだけでは、根本的な支援にならないことがわかりますね。
先程も述べましたが、学校の授業では、概念の理解の部分が短いし、黒板や紙面上での説明で終わってしまうことが多くあります。
その基礎の基礎の部分に戻り、そこを何度も、具体物を使いながら理解することが、まずは大切でしょう。
AちゃんやBちゃんのように、記憶力だけで計算のやり方を覚えているのに、意味の理解が乏しい場合は特に、
子どもたちが幼稚園や保育園時代に遊びの中で経験するような数の操作から、しっかり底上げしていく必要があるでしょう。
積み木や、ブロック、おはじき、おままごとの道具など通して、
手にとって(これが大切!)、数えること、並べること、
数が増えたり減ったりを、目で見て、声に出して、自分の手で操作しながら体得していくことが大事です。(触覚が過敏なためなのか、操作にも抵抗があるお子さんの事例もあげられていました。)
数の表現の形や継次処理、空間認知などは、そのような具体物の操作から学ぶことができるでしょう。
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● ● ● この固まりも
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この固まりも
広さは違うけど、数は同じですね。
そんな経験も大切です。
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これは
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こう並べると数えやすいな!
と数えながら気がつくことが大切。
そう、実際に数えてみることは、
並べることの必要性を感じる、
そして、数の固まり、位取りへと発展していきます。
タイルやブロックを使い、10の固まりの理解、そこから、位取りの理解へ。
操作に慣れてきたら、
百玉そろばんなどを使うことも有効です。
積み木やブロック、タイル
↓
百玉そろばん
↓
タイルなどの図
というように段階を踏むと良いそうです。
それらを使いながら、くりあがりやくりさがりのしくみ、
位のしくみ(10進法)などの理解へ促します。
計算のやり方がわかっているのに、やる事の順序を間違えてしまったり飛ばしてしまったりするお子さんには、
計算のやり方の順序を、その子のわかりやすいやり方で提示し、確認しながらすることが大切であるかもしれません。また、計算する時、位がずれたりしないように、紙面上での工夫が必要な場合もあるでしょう。書くスペースの広さや罫線も重要な要素です。
私たちは普通、20ぐらいまでの計算は、「自動化」といって、経験から、いつの間にか考えなくても記憶で計算することができることが多くなります。8と2は10 のように。
しかし、算数につまずきやすい子どもたちは、その「自動化」がされにくいこともわかっているそうです。ですから、理解していても時間がかかってしまい、問題を時間内に解けない場合もあります。
時間の配慮も必要ですね。
また、数の理解がすすんでからも、自動化をすすめるための、視覚イメージ(空間認知)を助けるツールは必要だということがわかります。
たとえば、このような図や表を、いつでも見ることができるように持っているのも良いようです。
もちろん、その子どもの特性に合わせ、見やすく理解しやすいものを使用することが望ましいでしょう。
数の意味がわかっていても、記憶力が弱いことで、九九が覚えられないなどのつまずきにがある子どもには、無理に覚えられない九九を覚えさせることに長い時間費やすよりも、
九九表の見方を覚えて、それを見ながらかけ算の問題を解くことへ進んだほうが良い場合もあります。
◯文章題を解くことへの支援
文章題を解くためには、まず、その文章に何が書いてあるのかを理解する読解力が必要です。
そこで、こんな文章題プリントを用いているそうです。
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◯一枚のプリントに、一問の文章題
①文章の中にわからない言葉がないか確認する設問
②何がきかれているのかを確認する設問
③文の中で、すでにわかっていることは何かを確認する設問
④図や絵で表す
⑤式を立てる
⑥計算する
⑦答えを出す
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このステップで解くと、順序だてて考えることができる上、
支援者側としても、どこにつまずいているのかがわかりますね。
◼️目標設定と合理的配慮について
ここまであげてきたような、その子その子にあった支援ツールを使ったり、時間を延ばしたり、計算スペースの工夫をしたり………
読みが苦手な場合は読み上げることをしたり、書くことに困難があれば、代筆やほかのツールをつかったり‥‥‥‥
そのような「合理的配慮」をしていくことはとても大切でしょう。でも、それを他の友だちもいる所で使いたいかどうかは、それぞれです。本人のつまずきだけでなく、本人がどうしたいかという気持ちも重要になってくるでしょう。その気持ちも汲みながら、どのような支援していくかを考え、選択していくことが重要と考えます。
また、忘れてならないのは、目標設定です。
特に、それについては、保護者がしっかりと考えて提示していくべき事です。
将来的に、こんな事ができるようになるために、これを学んでほしい、という具体的な目標です。
それにより、学習の質がかわります。量ではなく、質を大切にしたいですね。
学校側はどうしてもこの学習の次はこれ、とか、これができるならこれもできるはず、と、次々に課題をあげていきがちになります。それは当然のことなのですが、算数へのつまずきが大きいお子さんにとっては、後々使わないかもしれないことに時間を費やすより、将来的に使える算数を獲得することに重点を置いたほうが良い場合もあります。実際の生活の中では、むずかしい筆算をすることはほとんどありません。それよりも意味を理解する事に重点を置いて、式を立て電卓で答えを出すことができた方が、役にたつかもしれませんね。(これは、ほんの一例です)
そして、やはり何より大切なのは子どもたちの気持ちです。苦手なものに取り組むのは大人でも大変なことですよね。わからないこと、できないことがあっても、こうすればわかる、これを使えばできる、という「自分でできる!」の積み上げが自信につながり、次への学習意欲につながっていくでしょう。
今回のこの研修会に参加させていただき、この文章を書かせていただいている私自身は、「支援者」としての立場でもあり、算数につまずきのある子どもを育てている「保護者」の立場でもあるため、両方の立場からの学びが多くありました。
算数学習の目標をしっかり考えることや合理的配慮についての検討、そしてそれらをしっかり共有することが、保護者の役割としても、保護者と学校の間にいる立場としても、とても大切なことだと学ばせていただきました。
その他、配慮された文房具などの紹介もありました。
それについては、長くなってしまうので、またの機会に紹介させていただきます。
最後に‥‥‥
研修会に参加させていただき、私たちの覚書として、また、同じ悩みを持っている方々と共有できたらという思いで、ここにまとめさせていただきましたが、先生のお話と私の思いとが途中混ざってしまっています。私の耳で聴き変換されての拙い文章で、大変申し訳ありません。
もっと内容をくわしくお知りになりたい方のために、研修会で紹介された書籍の写真を貼っておきます。
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